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「花屋の戯言:故人にお花をお供えしたいお客様・・・枕花」

ご婦人が店に入っていらっしゃいました。そして
お客様:「お棺の上に飾るお花をください」
店主:「はい。それでは、蕾より少し開いているお花のほうがいいですね」と言いつつ、白いカーネーションやユリなどを手に取りました。
お客様:「あら、白だけじゃなくて赤っぽいのも入れてください」
店主:「えっ?でも、告別式に使うんですよね?そしたら、やはり白がいいと思いますけど・・・」
お客様:「いえ。告別式はあさってよ。『さっき、病院から帰ってきた』と知らせを受けたから、それならお花を届けようと思って買いにきたのよ」
店主:「じゃあ、お棺に飾るのではなく枕花をおつくりするんですね?お棺だったら故人と一緒に火葬するんですけど、しばらく飾っておくから新しい花で作ります。色物を入れるならランですね。ピンクのデンファレとか黄色のオンシジュームとか・・」
お客様:「そうなの?ぜんぜん知らなかった・・赤っぽくみえても赤じゃなかったのね。」
店主:「と、思います」
そんなやり取りの後、業界用語でいうところの”白上がり”の花束ができました。お客様は、いたく感激しながら帰っていきました。
そのとき写真は撮らなかったのですが、こんなイメージの花束でした・・・ 「白い花束」 T-052です。


枕花とは文字通り、故人の枕元に飾る花です。白い清らかな花にお悔やみの気持ちを込めて、ごく親しかった人がお供えします。花束やアレンジメントなどを、お通夜の前にお届けします。

画像を載せたことで、その「白い花束」にまつわるお話を思い出しました・・・・
数ヶ月前、東上線の東武練馬駅で自殺騒動がありました。その女性をなだめようとした警察官の方が結局、命を落とすという悲しい結末の事故でした。その際、遠く各務原に住むSさんから「花束を是非届けて欲しい」とご注文いただきました。Sさんは知り合いとかでもなく、唯ひたすら亡くなった方への追悼の意だと思われました。「渡る世間は鬼ばかり」と言いますが、まだまだ素敵な気持ちをお持ちの方がいらっしゃるのを実感して、世の中捨てた物では無いぞ!とこちらまで、暖かい気持ちになれました。その時にお届けした思い出深い花束なんです。枕花としては勿論ですが、上記のように、亡くなったばかりの方にもお供えする白い清らかな花束です。

by nissho3 | 2007-06-15 21:46 | 戯言etc・・・ | Trackback | Comments(0)

健気に生長する植物の姿紹介。


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